院長コラム

~ツベルクリン事情~2014年05月21日

ご挨拶にもお書きしましたように、佐世保は基地の町でもあります。米軍関係の書類を頼まれることもあります。 その中で、日本と大きく異なっているのがツベルクリン反応(ツ反)の記載法です。ご存じのように、BCG 接種はアメリカではなされていませんので、ツ反は陰性が普通ですが、日本人は BCGによる陽性者が多く存在します。わが国の従来の判定法は発赤長径:9mm 以下は陰性、発赤 10mm以上で弱陽性、これに硬結があれば中等度陽性、さらに副反応としての 2 重赤発、リンパ管炎、水泡、出血、壊死などが加われば強陽性と判定されていました。しかし、なるべく国際的な基準に合わせるように日本結核病学会は 2006 年に暫定基準を定めました。すなわち、BCG 接種歴がある人は赤発 40mm 以上あるいは硬結 20mm 以上を有意の反応とし、接種歴がない人は赤発 30mm 以上を有意の反応としました。 これに対して、米国方式では硬結のみの測定を行い、健常者では 15mm 以上を有意とし、high-prevalence group では 10mm 以上、high-risk group では 5mm 以上を有意としています。

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この写真の場合は BCG 接種歴があり、赤発 80mm、硬結 20mm、2 重赤発(+)なので、有意の反応と判定されます。なお、わが国では以前は採用時にツベルクリン検査を行って、これをベースラインデーター(BLD)としていたこともありましたが、近年ではクオンテイフェロンなどのインターフェロン・ガンマ遊離試験(IGRA)を BLD とするようになりました。

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