院長コラム

今期(2014/2015)のインフルエンザと肺炎球菌ワクチン2014年10月06日

そろそろインフルエンザのシーズンとなりました。

2014年9月22日付けのWHO「世界におけるインフルエンザの流行状況について(更新18)」では、東アジア地域では、インフルエンザの活動性はまだ低いままで、インフルエンザA/H3N2香港が循環している主なウイルスとのこと。中国南部でもインフルエンザの活動性は低いままで、検出例のほとんどがインフルエンザA/H3N2で、ごく少数がインフルエンザB型ウイルスとのことやわが国での散発例もA/H3N2香港が見られていることから見ると今期(2014/2015冬シーズン)もまずA/H3N2香港が流行しそうである。

今年のわが国のワクチン株はA型(A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09、A/ニューヨーク/39/2012(H3N2)香港 およびB型(B/マサチュセッツ/2/2012山形系統)で、昨年の2013/2014冬シーズンとはA型pdm09は全く同じであるが、H3N2香港株は少し異なった株である。

さて、今期から65歳以上の成人用肺炎球菌ワクチンが定期接種(B類)となり、65歳以上の高齢者の5歳刻みの方々が市町村の費用援助を受けながら接種可能となりました。現在、肺炎球菌ワクチンには多糖体23価ワクチン(PPV23:ニューモバックス)と多糖体にキャリア蛋白を結合させた結合型13価ワクチン(PCV13:プレベナー13)がありますが、今回定期接種に使用されるワクチンは前者のみとなりました。後者の13価ワクチンについてはすでに小児では昨年11月から7価ワクチンから13価ワクチンに切り替えられての定期接種が行われています。

PPV23と異なりPCV7やPCV13は細胞性免疫を作動させますので、強力な感染防御能が得られます。肺炎球菌には90種以上の血清型がありますが、そのうちの7種類の血清型を含むPCV7の使用で、欧米ではこれに含まれない血清型19Aなどが増加した事実からこれらを含むPCV13が開発されました。裏を返せば、PCV13は13種類の血清型しか含まれないが、これらの血清型の肺炎球菌感染は強力に防御することになります。一方、PPV23価ワクチンは23種類の血清型を含むワクチンですので、広範囲に感染の重症化を防ぐとされていますが、細胞性免疫は作動させません。

65歳以上の高齢者人口が3,000万人を超えた現在、すべての高齢者に平等に定期接種するにはあまりにも大人数となり、5歳刻みの年齢を対象とした今回の措置ではあるが、これに外れた大多数の高齢者の任意接種あるいは対象者においてもこの2種類のワクチン接種について各医療機関はわかりやすい説明を求められることになるでしょう。

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